はじめに
小児救急看護において「ホームケア」とは、子どもが病気やけがをしたときに家庭で行う観察も含めた対処方法のことを指します。子どもが医療機関を受診する主な原因は、発熱や下痢・嘔吐などの急性疾患です。そのため、発病してから医療機関にかかるまでの間や診察を終え帰宅した後に、症状の悪化を防ぎ病気の快復を助けるための正しいホームケアを家族が自分で行えることが必要となります。
ここでは、子どもの診療に携わる看護師を対象として、子どもの病気やけがに対する主な症状をあげ、その症状に関する①特徴、②緊急度判定、③ホームケア ④FAQ(よくある質問)をまとめました。また、次項にはホームケア指導を行う上でのポイントを簡単に、まとめてあります。外来などで家族に指導するための参考資料としてお使いください。
ホームケア指導のポイント
1.これまでに家族がもっていた情報と、家族が求める情報を確認する
家族によってもともと持っていた(知っていた)情報や、欲している情報は様々です。指導を行う家族のスキルを確認し、そのニーズに沿った指導内容を吟味する必要があります。子どもの身に今後起こるであろう最悪の状態を予測し、子どもの安全が守られるために必要な観察とケアは何かを考えることが大切です。
2.家族の行動(判断)やその思いを受けとめる
時には医療者からみて不適切に感じる家族の判断やケアがあります。まずは、なぜそうするに至ったのかという家族の思いを受けとめましょう。正しい知識やケア方法を指導しようという使命感にかられ、一方的な指導にならないように注意しましょう。
3.家族が実施できるケアと、効果的な指導方法を選択する
家族のセルフケア能力、育児能力に合わせたケア方法を選択します。自宅ですぐに使用できる物や実施可能な方法を選びましょう。より高度な知識や技術より帰宅後にケアを継続できることが大切です。 指導するときに自宅で繰り返し情報を見直すことができるリーフレットなどを手渡す方が効果的な場合や、また実際に目の前で実演し視覚的に伝授する方が実施しやすい場合など多々あります。より効果的な指導方法で伝える工夫をしてみましょう。
4.指導のタイミングをはかる
子どもの症状や状態によっては家族の動揺が強く、とても情報を聴き入れる体制にない場合もあります。家族が受け入れられる状態にあるかどうかをよく観察し、より効果的な場所、タイミングをはかりながら指導を進めていくことが大切です。
5.受診の目安を知らせる
子どもは、自分の症状をうまく表現することができません。医療に関する専門的知識を持たない家族にとってそれは自宅療養をするうえで不安要因となります。緊急で受診が必要となる重篤な症状とは何かという情報を分かりやすく伝えると、家族は子どもの重症度を把握しすくなり安心して自宅で過ごすことができます。